ジャズの名盤・名作をご紹介

ジャズの名盤探検隊

現行ジャズ特選盤 Sebastian Spanache Trio - A Pasha's Abstinence (2014)

Sebastian Spanache Trio - A Pasha's Abstinence (2014)

Sebastian Spanache Trio - A Pasha's Abstinence

Genre:ジャズ
Style:コンテンポラリー・ジャズ
Recording:2014
Release:2014
Label:Fiver House Records
Sebastian Spanache (p, rd), Csaba Santa (b), Radu Pieloiu (ds), Joanna Kucharczyk (vo), George Dumitriu (g), Alex Simu (cl), Berti Barbera (per)

ルーマニアで2011年に結成されたピアノ・トリオの2nd。2013年の1stアルバムでフェンダー・ローズのコンテンポラリー・ピアノ・トリオを聴かせて度肝を抜いてくれましたが、本作はその延長にありながら、更にボーカル・トラックやギターとのクァルテット、ソプラノ・クラリネットとのクァルテット、弦楽四重奏とのコラボレーションなどデビュー作を大きく前進させた作りとなっています。

特徴的なのは、日本での知名度の低さ!というのが音楽的な部分以外ではあって、検索しても日本語ページがディスク・ユニオンくらいしか見つからない現状です。もう3枚アルバムを出しているので、もう少し認知があってもいいのかなと思います。そのほうがアルバムが手に入りやすくなるので。

さて、音楽的に特徴的なのは北欧ジャズのリリカルな印象だけでなく、グルーヴへの執着と大作志向、それと既存のピアノ・トリオの枠に囚われない楽器編成です。

特にグルーヴと大作志向は結合していて、例えばアヴィシャイ・コーエン Avishai Cohen の名前を上げるのが手っ取り早いかと。キーになるトラックはどれも8分~14分あって、そのどれもが情緒に流されることなく常にメロディが跳ね続ける余地をグルーヴが作り出します。それをフェンダー・ローズでやってくれるんだからたまらないわけです。

Joanna Kucharczyk のアンニュイなボーカルがとても心地よい「SIxty Five」。George Dumitriu のギターとの共演「Smoke And Mirrors」はカート・ローゼンウィンケル Kurt Rosenwinkel にも引けを取りません。

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ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればTwitterまで。@elenco

30周年記念!Soul II Soul - Club Classics, Vol. One: Keep On Movin' (1989)

Soul II Soul - Club Classics, Vol. One: Keep On Movin' (1989)

Soul II Soul - Club Classics, Vol. One

Genre:ソウル
Style:グラウンド・ビート、クラブ・ジャズ
Recording:1989
Release:1989
Label:10 Records
Jazzie B., Nellee Hooper

超弩級特大クラシックのため、ブックオフやアマゾン、その他ネット・オークションで100円あれば買えてしまうのはご愛嬌。UKクラブシーン、DJファンキー・ドレッドことジャジーBと、ザ・ワイルド・バンチ The Wild Bunch(マッシヴ・アタック Massive Attack の前身)のネリー・フーパーの二人が作り上げた歴史的名作。30年経った今も全く色褪せないこのアルバム、記念エディションが出ないものでしょうか。

Club Jazz Definitive 1984-2015 掲載盤。

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メイレレス・エ・オス・コパ・5 Meirelles E Os Copa 5 - O Som

Meirelles E Os Copa 5 - O Som

Genre:ジャズ
Style:ブラジリアン・ジャズ
Recording:1964
Release:1964
Label:Philips
J.T. Meirelles (ts, fl), Manuel Gusmao (b), Dom Um Romao (ds), Luiz Carlos Vinhas (p), Pedro Paulo (tp)

ブラジル音楽愛好家の間では通称「青盤」として有名な J.T.メイレレスのスーパー・グループのデビュー作。サイドメンにはルイス・カルロス・ヴィーニャス Luiz Carlos Vinhas(Bossa Tres)やドン・ウン・ホマォン Dom Um Romao の名前も。須永辰緒の夜ジャズ・シリーズでも有名です。

冒頭を飾る「Quintessencia」はサンバ・ジャズの王道で、素晴らしい演奏を各人が聴かせてくれます。続くスローナンバー「Solitude」はモンクのラウンド・ミッドナイトが下敷きとしてたぶんあるでしょう。あそこまで湿り気がない憂いなのはやはりブラジリアンだからでしょうか。「Blue Bottle's」は陽気なナンバー。ソロがバトンタッチされていくさまが気持ちいいですね。「Nordeste」も「Blue Bottle's」と同じように中盤を固めるには良曲でしょう。そしてブラジリアン・モーダルとして大変評価の高い「Contemplacao」。「Tania」はボッサ・テイストを取り入れた締めに相応しいナンバー。どの曲もメイレレスのソロが素晴らしい。

アレンジャー、またグループのリーダーであるメイレレスは1940年10月10日生まれ。コンポジションとアレンジメントをボストンのバークリー音楽院で学び、リオやサン・パウロのグループやオケでアレンジをしたり、実際に演奏していました。

ベースのマヌエル・グスマンは1934年7月1日生まれ。1960年にプロ・ミュージシャンになり、ボトルズ・バーで演奏していました。1961年のモントルー・ジャズ・フェスティバルのような大きなイベントやカーネギー・ホールでの歴史的なコンサートでの演奏経験もあります。

トランペットのべドロ・パウロは「カリオカ」ではない唯一のメンバーで、ジュイス・デ・フォラに1939年に生まれました。前述のマヌエル・グスマンと同じようにカーネギー・ホールでのコンサートに参加したり、ヴィレッジ・ゲイトでも演奏しました。ドラムスのドン・ウン・ホマォンと一緒にキャノン・ボール・アーダレイの吹き込みにも参加したことがあります。

言わずとしれたルイス・カルロス・ヴィーニャスは1940年5月19日生まれ。この頃既に彼の名前は有名になっていて、ジョアン・ジルベルト、マイーサ、ジョルジ・ベンなどと共演していました。

CD化に際して3曲のボーナス・トラックが追加されていて、それには、ロベルト・メネスカルや、ワルテル・ブランコ、デオダートらの名前が見れるところを見ると、たぶんこの次のアルバム吹き込みに際してのアウトテイクかと思われます。どれも2分弱の小曲ですが、メネスカルからの影響か、ジャズ・ボッサの風味が心地良い良曲です。

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ジョン・サーマン The Amazing Adventures of John Surman (2001)

The Amazing Adventures of John Surman (2001)

John Surman - The Amazing Adventures of John Surman

Genre:ジャズ
Style:コンテンポラリー・ジャズ
Recording:1976-1997
Release:2001
Label:Musica Jazz, ECM/JS
John Surman, John Warren, John Abercrombie, Barre Phillips, Miroslav Titous, Anouar Brahem, etc

見たことないジャケットで、ECMっぽくもなかったのでネット・オークションで300円で購入。ブートレグかなと思ってライナーを読んでみたら、なんのことはない、ECMのジョン・サーマンをコンパイルしたアルバム…そうか、The Amazin Adventures of は Simon Simon のところを文字ってみれば確かにジョン・サーマンの遍歴みたいに感じるかもしれない。ECM正規盤ではないのではないでしょうか。

ということで、ジョン・サーマンのファンであれば聴いているであろうECM盤の中身なのであらためてご紹介する必要もないかもしれませんが、良い点も一応あって、リーダー作だけでなく参加作品からもハイライトをピックアップしてくれているところ。

私はECMからアルバムをリリースしだす前のジョン・サーマンが好きなので、ちょっと肩透かしを食らったような感じでしたが、思わぬ収穫もありました。それがジョン・ウォーレン John Warren との共同制作盤「The Brass Project」収録の「The Returning Exile」がとても良かった。あと70年代の録音はいいものが多いですね。

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ニール・アードレイ Neil Ardley - Greek Variations (1970)

Neil Ardley - Greek Variations (1970)

ニール・アードレイ、イアン・カー、ドン・レンデル|グリーク・ヴァリエーションズ

Genre:ジャズ
Style:ビッグ・バンド、モード・ジャズ、ジャズ・ロック
Recording:1970
Release:1970
Label:Columbia
Barbara Thompson, Jeff Clyne, Neville Whitehead, Amaryllis Fleming, Charles Tunnel, John Marshall, Trevor Tomkins, Jack Bruce, John Mackswith, Chris Spedding, Karl Jenkins, Don Rendell, Stan Robinson, Brian Smith, Michael Gibbs, Ian Carr, Frank Ricotti, Ken Essex, Jack Rothstein, Kelly Isaacs

ピアニストとサキソフォニストから編曲家・音楽監督への道へ進むニール・アードレイの初リーダー作。この直前にはニュー・ジャズ・オーケストラ The New Jazz Orchestra の音楽監督を務め、かの有名な名盤「Le Déjeuner Sur L'herbe」をリリースしたばかり。

このアルバムは、双頭ならぬトリプル・ヘッダーで、ニール・アードレイがリーダーのA面、イアン・カー、ドン・レンデルのそれぞれのバンド・パートから構成されています。イアン・カーはドン・レンデルと袂を分かってニュークレウス Nucleus を結成したばかり(1969年)。「Shades of Blue」の三者がそれぞれリーダーとなって一枚のアルバムを作っているわけです。

A面を占める複雑でエキゾティズムを含んだ大曲を監督するアードレイ、ニュークレウスの夜明けを感じさせるカー・バンド、そのカーの抜けたレンデル・バンドはストレートなブリティッシュ・ジャズを追求する、という三者三様の表現ですが、とはいっても、主役はニール・アードレイ。そして、このアルバムを含めて、続く「A Symphony of Amaranths」「Kaleidoscope of Rainbows」と三部作を成すと言われています。

それではB面から聴いていきましょう。

B面の冒頭3曲はイアン・カー=ニュークレウス。「Wine Dark Lullaby」「Orpheus」では落ち着いた英国ジャズを聴かせてくれますが、「Persephone's Jive」でエレキ・ギターも参戦して突然のジャズ・ロック。これが前の2曲でちょっと間が抜けてしまったところもあって(コケたともいえるでしょう)、そのギャップがある分余計に格好良い。

B面後半はドン・レンデル・カルテット(イアン・カーが抜けたためクインテットからカルテットへ)。実際演奏は、ドン・レンデル=イアン・カー・クインテットの延長線上にあり、先行するイアン・カーが「Persephone's Jive」でうまく襷をつないだかたちとなったので、B面全体の構成は驚くほどよく、統一感があります。ドン・レンデルの白眉は「Odysseus, King of Ithaca」で、英国伝統勢の面目躍如とでもいうべきピアノレス・モードの傑作となっています。

さて、A面はニール・アードレイの監督した23分を超える「Greek Variations」。室内楽ジャズ・オーケストラ作品とでも呼べそうな一大絵巻でこのアルバムのハイライトといって間違いありません。

金管楽器が醸し出すどこか中近東を思わせる端正なテーマに導かれ、次第にオーケストレーションが加わっていきます。ベースのリズム変化に導かれ、クラシカルなストリングスが場面の変化を伝えると、そこからモード・ジャズに突入。この変調は繰り返され映画のように場面展開しながら(正に変奏曲)、次第にオーケストレーションとジャズが分かちがたく結ばれつつ、ジャズという即興音楽の枠を取り払った組曲として成立するのです。

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