アーケストラ傑作'59年作品!サン・ラー Sun Ra - Jazz In Silhouette (1959)
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Sun Ra & His Arkestra - Jazz In Silhouette
- Genre:ジャズ
- Style:ビッグ・バンド、バップ
- Recording:1958
- Release:1959
- Label:Saturn Record
- James Spaulding (as, fl), Marshall Allen (as, fl), Charles Davis (bs), Pat Patrick (bs, fl), Ronnie Boykins (b), William Cochran (ds), John Gilmore (ts), Sun Ra (p), Julian Priester (tb), Hobart Dotson (tp)
初めてサン・ラーのアルバムを買ったのは10代の終わり頃、今はなき池袋のヴァージンでベスト盤を買いました(今となってはどのベスト盤か思い出せない)。さぞかし素晴らしいジャズが詰まっているのだろうと思っていたら、ヘンテコな音楽が流れてきて、はっ?と思った記憶があります。なにせ、ジャズを拡張する宇宙からの使者のはずなのに、ジャズを拡張するとこうなるとは当時は考えるはずもなく、それから幾年も経て、サン・ラーを名盤として紹介する日が来るとは思いもしませんでした。
1958年録音、1959年リリースのこのアルバムはサン・ラーの膨大なディスコグラフィーの中でも、比較的聴きやすい部類、というか本人はそんなこと意識していなくて、ジャズと宇宙音楽がやっとマリアージュし始めただけのことでしょう。ちなみに掲載のジャケットはオリジナルではないようです。
このアルバムで触れておきたいトラックは幕開けの「Enlightenment」と「Saturn」、中盤を飾る「Ancient Aiethopia」。
「Enlightenment」。一体何を啓発するのか、それとも啓発されたのか。ジョン・ギルモアの夜の怪しいテーマに導かれ、それをサン・ラーはリズムの裏で伴奏し、いつの間にかリズムは4ビートに。と思ってたらサン・ラーのソロを境に今度はルンバ。アーケストラの面目躍如という具合の密度の濃さ。それに続く「Saturn」、土星です。典型的なサン・ラーのテーマですが、各人のソロはかなりまともでどちらかというとバックの演奏が楽しい。「Ancient Aiethopia」はこのアルバムのハイライト。アラビックなモードで密やかな会話が始まれば、マレットの上をフルートが絡み合う様はまるでお囃子。トランペット・ソロが夜の訪れを告げたと思えば、サン・ラーの短いピアノ・ソロが確かに暗黒のモーリス・ラヴェル風。そして、出た!呪文!
次回は、このアルバムに収録されなかった同時期の録音がアソートされた「Sound Sun Pleasure!!」を紹介予定です。お楽しみに!







