ジャズの名盤・名作をご紹介

ジャズの名盤探検隊

1979年のサン・ラー傑作選 Sun Ra - Strange Celestial Road / Sleeping Beauty / On Jupiter

サン・ラー|ストレンジ・セレスティアル・ロード

Genre:ジャズ
Style:ブラック・ジャズ、ジャズ・ファンク
Recording:1979
Release:1980
Label:Rounder Records
Richard Williams (b), Steve Clarke (b), Luqman Ali (ds), Reg McDonald (ds), Vincent Chancey (fh), Skeeter McFarland (g), Taylor Richardson (g), Sun Ra (key), Artaukatune (per), Danny Thompson, Eloe Omoe, Hutch Jones, James Jacson, John Gilmore, Kenny Williams, Marshall Allen, Noel Scott, Sylvester Baton, Craig Harris (tb), Tony Bethel (tb), Curt Pulliam (tp), Walter Miller (tp), Michael Ray (tp), Damon Choice (vib), Harry Wilson (vib), June Tyson (vo), Rhoda Blount (vo)

20世紀中盤から各ディケイドごとに音楽の地殻変動があった、と思います。1979~1980年にかけてもそうで、パンク~ポスト・パンク、ニュー・ウェイブ、ノイズ、ディスコ、音楽には色々な新風が吹き荒れました。ヨーロッパではなんとレコメンデッド・レコーズがサターン盤をディストリビュートするようになり、サン・ラーは再発見されることになりますが、UFOの目撃が世界各地で確認されるようになったくらいの畏怖の念はもたらしたのではないでしょうか。

1979年に録音されたサン・ラーのアルバムは多く、名盤として名高い「Lanquidity」を筆頭に「Of Mythic Worlds」、「The Other Side of Sun」、「I, Pharaoh」、「Sleeping Beauty」、「Gods Is More Than Love Can Ever Be」、「Omniverse」などなど枚挙に暇がありません。このアルバム「Strange Celestial Road」も1979年録音、というか「Sleeping Beauty」と同一セッションです。

ジャケット、やっぱり宇宙ですね。これは惑星の周りを衛星が周回している様子でしょうか。大きな惑星はサン・ラー自身を表しているに違いありません。周りの衛星はなんでしょう。当時西欧世界を席巻していたニュー・ウェイブでしょうか、ディスコでしょうか。お前らもオレの周りを回っている衛星に過ぎないぜ、そんなサン・ラーの主張が聞こえてきそうです。しかもあながち間違えていないところが素晴らしいですね。

アルバムの雰囲気は不気味にファンキーです。記事タイトルに「ディスコティーク」と書いたのは、このアルバムを初めて聴いた十代も終わりの多感な時期に、「これってディスコ?」となんとなく考えたことを忘れずにいるからで、特に音楽的にディスコしているわけではありません。ただ確実にサン・ラーはこの時期に、ディスコを含めた流行りの音楽に鋭い視線を向けていたことは間違いなくて、それを1979年に録音されたアルバム群から如実に聴き取ることができます。

このアルバムは長寿というか忘れ去られることなく人気のある盤だと思います。CD化もされてますし。フリーのビッグ・バンドがかなり大真面目にファンクをやったら、しかもリーダーは奇天烈という、そんな音楽がアソートされています。

Sun Ra - Sleeping Beauty

サン・ラー・アンド・ヒズ・インターギャラクティック・ミス・サイエンス・ソーラー・アーケストラ|スリーピング・ビューティー

Genre:ジャズ
Style:スペース・エイジ、スピリチュアル、チル
Recording:1979
Release:1979
Label:El Saturn Records
Richard Williams (b), Eloe Omoe (bc, fl), James Jacson (bassoon, fl, per), Luqman Ali (ds), Disco Kid (g), Marshall Allen (as, fl), Danny Ray Thompson (fl, bs), Vincent Chancey (fh), Atakatune (per), Sun Ra (p, ep, vo), John Gilmore (ts, per), Craig Harris (tb), Tony Bethel (tb), Walter Miller (tp), Michael Ray (tp, fh), Harry Wilson (vib), June Tyson (vo)

とても上述の「Strange Celestial Road」と同じセッションとは思えない美しさ…その名も「Sleeping Beauty」。79年6月、ヴァラエティ・レコーディング・スタジオでのアーケストラ名義による吹き込み。

スピリチュアルを通り越してチル・アウトに達しそうなトラック 1「Springtime Again」はサン・ラー流ロマンティシズム。ビルド・アン・アーク Build An Ark もカヴァーした「Door of The Cosmos」はメローなジャズ・ファンク。タイトル・トラック「Sleeping Beauty」はピースフルでどこか牧歌的なナンバー。それにしても全編通してサン・ラーのエレピがこんなに気持ちいいとは!

Sun Ra - On Jupiter

サン・ラー・アンド・ヒズ・ソーラー・アーケストラ|オン・ジュピター

Genre:ジャズ
Style:スペース・ジャズ、フリー・ファンク、ジャズ・ファンク
Recording:1979-10-16
Release:1979
Label:El Saturn Records
Marshall Allen (as, fl, ob), Julian Presley (bs), Danny Ray Thompson (bs, fl), Steve Clarke (b), James Jackson (bassoon, fl), Luqman Ali (ds), Dale Williams (g), Disco Kid (g), Taylor Richardson (g), Atakatune (per), Sun Ra (p, og, vo), John Gilmore (ts), Eddie Gale (tp), Michael Ray (tp), June Tyson (vo)

「Sleeping Beauty」セッションから4ヶ月後の10月16日、アーケストラはまたヴァラエティ・レコーディング・スタジオに結集し次なる名作を作り上げることになります。それがこの「On Jupiter」(その間に「God Is More Than Love Can Ever Be」と「Omniverse」を録っているのですがそれは次回以降に)。

ここで大問題。Loose Joints ことアーサー・ラッセル Arthur Russell はサン・ラーを聴いていたんじゃないのか疑惑が持ち上がるのが(勝手に持ち上げる)、このアルバム収録の「UFO」。Loose Joints 名義のダンクラ大傑作「Is It All Over My Face」の下敷きになっているんじゃないのかというほどに、ベースラインやちょこちょこ動き回るオルガンがそれを想起させて止まない。「Is It All Over My Face」は1980年だし。という空想すら許すサン・ラー万歳。

Sun Ra - God Is More Than Love Can Ever Be

Sun Ra - God Is More Than Love Can Ever Be

Genre:ジャズ
Style:スウィング、フリー
Recording:1979-7-25
Release:1979
Label:El Saturn Records
Hayes Burnett (b), Samarai Celestial (ds), Sun Ra (p)

ヘイズ・バーネットとサマライ・セレスシャルとのピアノ・トリオ作品。他の79年前後の作品からは伺えしれない吹き込みに思われますが、その長いキャリアの中で、サン・ラーは、定期的にスウィングに回帰していたのではないかと思わせる節があります。驚くのではなくて、ルーティンとして聴いてあげると、きちんとスウィングの中にもサン・ラーらしさが垣間見えてこれはこれで楽しめたりします。

聴きどころはゆったりとした所謂ジャジーなピアノ・トリオから、次第に宇宙へのエレベーターが動き出すトラック 3「Tenderness」から、陽気なスウィングのはずがいつの間にかスペース・ランディングな浮遊感に取り憑かれる「Blithe Spirit Dance」にかけての19分間。

@ 管理人
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