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コートニー・パイン Courtney Pine - Destiny's Song + The Image of Pursuance (1988)

Courtney Pine - Destiny's Song + The Image of Pursuance

コートニー・パイン|デストゥニーズ・ソング + ジ・イメージ・オブ・パースアンス

Genre:ジャズ
Style:コンテンポラリー、UK、バップ
Recording:1988
Release:1988
Label:Antilles New Directions
Courtney Pine (ts, ss), Gary Crosby (b), Paul Hunt (b), Mark Mondesir (ds), Joe Bashorun (p), Julian Joseph (p)

アシッド・ジャズ、そしてUKジャズの隆盛直前の1988年にリリースされた、コートニー・パインとしても真っ向からバップに挑んでいる2ndフルアルバム。コルトレーンの流れを換骨堕胎、アメリカ臭くない洗練されたバップを追求していて、ここから90年代に突入するのだというコンテクストから聴いてみても楽しめるアルバム。

「Destiny's Song」は、Pineがメジャー・デビューを飾った記念すべき作品です。コンテンポラリー・ジャズの流れを汲みつつ、ブリティッシュ・ジャズのアイデンティティも薫り立つサウンドが特徴的でした。ジャズ・フュージョン的な側面と伝統的ジャズのエッセンスを絶妙に融合させ、Pineの卓越したテナー・サックスの improvisation が存分に光る作品に仕上がっています。一流ミュージシャンのキース・ジャレットらもゲスト参加し、注目を集めたデビュー作となりました。

そして続く「The Image of Pursuance」では、Pineはさらにアフリカ音楽のルーツを強く意識したサウンドを追求しています。アフロ・セントリックな楽曲が並び、リズム面での実験性が際立っています。様々なパーカッションの使用が印象的で、カリブ海の音楽的影響も取り入れられた作風となっています。現代的なジャズ・サウンドとアフリカ等のルーツ音楽を巧みに融合させた、挑戦的で前衛的な一作に仕上がっているのが特徴です。

これら2作品を通して、ジョン・コルトレーンからの影響が色濃く出ていることは前述の通りです。しかしながら、同時期にイギリスで勃興していたアシッド・ジャズ・シーンからの影響も見て取れます。アシッド・ジャズは、ジャズにダブ、レゲエ、ヒップホップ、エレクトロニカ等のブラック・ミュージックの要素を取り入れた新しいジャズ・スタイルでした。Pineもこの流れを体現するかのように、様々なブラック・ミュージックの要素を自由に取り込んでいます。

特に「The Image of Pursuance」では、アフリカ音楽的要素に加え、ダブ/レゲエ的なリズム・トラックやサンプリングの導入など、当時のアシッド・ジャズ・シーンの影響を強く感じさせるサウンドが目立ちます。黒人アイデンティティと現代的サウンドの融合を目指したこのアルバムは、まさにアシッド・ジャズの精神そのものを体現していると言えるでしょう。

このように、Courtney Pineの88年の2枚のアルバムは、コルトレーンの影響とアシッド・ジャズの影響を同時に受けつつ、新たな黒人ジャズ・アイデンティティを追求した極めて重要な作品群であり、後の新世代ブリティッシュ・ジャズの先駆けともなった先駆的な仕事だと評価できます。

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