サン・ラーとジャズの十月革命 Sun Ra - The Heliocentric Worlds of Sun Ra, Vol. 1, 2 & 3 (1965)

サン・ラー|ザ・ヘリオセントリック・ワールズ・オブ・サン・ラー Vol. 1
- Genre:ジャズ
- Style:フリー・インプロヴィゼーション、ブラック・ジャズ
- Recording:1965-4-20
- Release:1965
- Label:ESP Disk
- Sun Ra (key), Pat Patrick (bs, per), Ronnie Boykins (b), Robert Cummings (bc), Bernard Pettaway (btb), Danny Davis (fl, as), Jimhmi Johnson (per), Marshall Allen (as), John Gilmore (ts), Jimhmi Johnson (ti), Teddy Nance (tb), Chris Capers (tp),
ジャズの10月革命から立ち上げられたビル・ディクソン BIll Dixon とセシル・テイラー Cecil Taylor 主導のジャズ・コンポーザー・ギルドは短命でしたが、後に多くの遺産を残しました。1965年半ばにはサン・ラーはそこから脱退しましたが、この「太陽中心世界シリーズ」の3枚は、その前後の時期に録られたまさに創造的実験ジャズの歴史的記録となっています。特に見逃せないのが、これが ESP Disk からのリリースというところではないでしょうか。ESPはジャズの10月革命が残した大いなる遺産の一つ。バーナード・ストールマンが持っていた会社で、10月革命の音楽的方向にいたく感銘を受けたストールマンがそれをレーベル化したのが始まりです。
Vol. 1である本作は1965年4月20日にスタジオ録音されリリースされたアルバム。真っ黒で抽象的なジャケットが印象的で、Vo. 2や Vol. 3のジャケットよりもアルバムの内容をよく表しているといえかもしれませんね。音楽性は前述したように、創造的かつ実験的(そういう意味でブラック・ジャズというほうが適切かもしれません)、音響的で、特に打楽器の多様・多用を特徴として挙げられます。そして、フリー・ジャズ、といいたくなる音楽性はありますが、どちらかというとフリー・インプロヴィゼーションに近い。巨大なサン・ラーという存在よりは、個々のプレイヤーの演奏、その静と動が尊重されていて、別にドバーッとやるわけでもなく、冷静かつ沈着に己等の音楽を導き出そうとしている姿が想像できるはずです。

サン・ラー|ザ・ヘリオセントリック・ワールズ・オブ・サン・ラー Vol. 2
- Genre:ジャズ
- Style:フリー・インプロヴィゼーション、ブラック・ジャズ
- Recording:1965-11-16
- Release:1966
- Label:ESP Disk
- Marshall Allen (as), Pat Patrick (bs, per), Ronnie Boykins (b), Robert Cummings (bc, p), Roger Blank (per), Sun Ra (key), John Gilmore (ts, per), Walter Miller (tp)
Vol. 2は、Vol. 1の約半年後の11月16日に録音されました。特に冒頭「The Sun Myth」、太陽神話とでも言えばよいのでしょうか、の18分にも及ぶの大作、そしてトラック 2と3をぶち抜く20分の静と動の交錯に目が行くかもしれません。が基本的な路線は Vol. 1と変わらず、1965年という時期にサン・ラーのバンドが志向した音楽的路線はこのような奥深いものだったと、一聴すれば気付けるに違いありません。ジャケットが最高にイカシテますね。

サン・ラー|ザ・ヘリオセントリック・ワールズ・オブ・サン・ラー Vol. 3
- Genre:ジャズ
- Style:フリー・インプロヴィゼーション、ブラック・ジャズ
- Recording:1965-4-20
- Release:2005
- Label:ESP Disk
- Marshall Allen (as), Pat Patrick (bs, per), Ronnie Boykins (b), Robert Cummings (bc, p), Roger Blank (per), Sun Ra (key), John Gilmore (ts, per), Walter Miller (tp)
Vol. 2 と同日に録音されながら日の目を見ることなくお蔵入りされ、突如21世紀のスペース・エイジにリリースされた Vol. 3、その名も「Lost Tapes」。1~3までぜひ聴いてほしいですが、一枚と言われれば Vol. 1。ですが、21世紀には Vol. 1~3までのセットがCDで販売されています。サン・ラー万歳。
