ジャズの名盤・名作をご紹介

ジャズの名盤探検隊

ルーカス・アルーダ Lucas Arruda - Onda Nova (2019)

Lucas Arruda - Onda Nova

ルーカス・アルーダ|オンダ・ノヴァ

Genre:ブラジル
Style:AOR、ライト & メロウ 、フュージョン
Release:2019
Label:Favorite Recordings

ブラジリアン・アーバン・メロウのルーカス・アルーダの1st「Sambadi (2013)」、2nd「Solar (2015)」に続く3rdアルバム。至福のAORアルバムとなっております。シンセとギターが超エロいです。

ジャケットがモロ、というかそのままベナード・アイグナー Benard Ighner の「Little Dreamer」で(マリーナ・ショウ Marlena Shaw「Who Is This Bitch, Anyway?」のプロデューサーで有名)、これってリスペクトにしろ、渡辺香津美や村上ポンタ秀一、深町純が参加している日本制作ってところがうれしいじゃないですか。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればX(旧Twitter)まで。@elenco

シヴーカ Sivuca - Sivuca (1973) / Live At The Village Gate (1975) / Putte & Sivuca (1969)

Sivuca - s/t

シヴーカ|s/t

Genre:ブラジル
Style:ブラジリアン・フォーク、サンバ、MPB
Release:1973
Label:Vanguard
Charles Chappelear (b), Sadiq Shabazz (ds), Sivuca (key, g, accordion, per, vo), Angel Allende (per), Morris Goldberg (ss, as, cl, fl), Cindy Kimball (vo), Sue Cummins (vo)

ジャケットはどうみてもギターを持った仙人のようにしか見えませんが、この時シヴーカ御年43歳!二十歳くらいの時にこのアルバムに出会ったときはそのジャケットのインパクトに恐る恐る中身を聴いたものです。エルメート・パスコアルならぬ白髪の仙人か怪人にしか見えませんね。リリースはヴァンガード Vanguard ですし、ちょっとジョン・フェイヒィのような怖いもの見たさもありましたっけ。

シヴーカが日本の音楽ファンに浸透したきっかけは90年代に始まったフリー・ソウルのブームや、カフェ・ブーム、それにクラブー・シーンでの再評価が著しかったからです。本人の風貌はともかく、ギターとアコーディオンと歌を自由にブラジルのグルーヴの俎上で自由奔放に表現するシヴーカの音楽性は、広く日本のおしゃれ音楽ファンの間で受け入れられました。

シヴーカは1930年生まれ。本名はセヴィリーノ・ディアス・ジ・オリヴェイラといい(Sivuca という名前はどこから…)、幼少の頃からアコーディオンを弾きこなしたそうで、ジャケットの印象でギタリストと思い込みがちですが、基本的にはマルチ・プレイヤーですね。50年代の初レコード吹き込み以降、50年代末にはブラジルの音楽大使としてヨーロッパに出向いて、そのまま仏パリに移住。63年頃に、折からのボサ・ノヴァ・ブームに湧いていたニューヨークに移り、ハリー・ベラフォンテやミリアム・マケバ、オスカー・ブラウン JR. らのレギュラー・メンバーとして活躍。要は世界中を楽旅しながら生活して、フランスやスウェーデンなど、各地にリーダー作を残しました。これはそうして73年にヴァンガードからリリースされたセルフ・タイトルド・アルバム。

シヴーカの音楽性は、決して古びないフォークロアのような性質を持ちながら、ボサ・ノヴァのような落ち着きと大人っぽさ、そしてMPBの自由奔放さを持ち合わせた、現代のブラジル音楽シーンに繋がるものです。「Berimbau」からビル・ウィザーズ Bill Withers の「Ain't No Sunshine」を同一線状に並べて料理してしまう幅広い音楽性は、今後も世界の音楽に興味津々な音楽ファンの耳を納得させることでしょう。

Sivuca - Live At The Village Gate

シヴーカ|ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ゲイト

Genre:ブラジル
Style:ブラジリアン・フォーク、サンバ、MPB
Release:1975
Label:Vanguard
Mervin Bronson (b), Sadiq Shabazz (ds), Angel Allende (per), Sivuca (vo, g, accordion, p, per), Cindy Kimball (vo, per), Morris Goldberg (woodwind)

ヴァンガードからの2作目のリリースとなったのは、ニューヨークの名門ジャズ・クラブであるザ・ヴィレッジ・ゲイトでのライブ録音。

Sivuca - Putte Wickman & Sivuca

シヴーカ|プッテ・ウィックマン & シヴーカ

Genre:ブラジル
Style:ボサ・ノヴァ、サンバ、MPB
Recording:1969-1-27
Release:1982
Label:Four Leaf Clover Records
Sture Nordin (b), Putte Wickman (cl), Nils-Erik Slörner (ds), Sivuca (g, accordion, vo), Bengt Lindqvist (og)

コレは素晴らしい作品で、スウェーデンで録られたブラジリアン・フレーヴァー溢れるユーロ・ジャズという見方もできると思われます、シヴーカがユーロ・ジャズのカルテットに参加した、みたいな。それくらいプッテ・ウィックマンのクラリネットとベングト・リンドクヴィストのオルガンが素晴らしくて、そこにシヴーカが絡んでくるジャジーなテイストはもはや感動的なくらい。選曲も申し分なしで、シヴーカの最初の一枚はこれがオススメです。

プッテ・ウィックマンは日本ではあまり知られていませんが、スウェーデンのジャズ界では有名なクラリネット奏者で、1924年生まれなのでシヴーカより6歳くらい年上です。Sonet や Odeon といった北欧のレーベルから数多くリーダー作をリリースしていて、ベニー・グッドマン風のの音楽性~レニー・トリスターノにも通じる音楽性で40年代~60年代に活躍したジャズ・ミュージシャンです。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればX(旧Twitter)まで。@elenco

ネコ Neco - Velvet Bossa Nova (1966)

Neco - Velvet Bossa Nova

ネコ|ヴェルヴェット・ボサ・ノヴァ

Genre:ブラジル
Style:ボサ・ノヴァ、インストゥルメンタル
Release:1966
Label:London Records

ボサ・ノヴァのこういうジャケット、演奏している人と関係ない女性がメインの美味ジャケ、にはそれでもやっぱり勘違いしてしまうもので、聴いてみてびっくり男性の低いウィスパー・ボイスが流れてきて、なんてこともあります。

この作品は、ネコが残した数少ないリーダー作の一枚。ネコは幾多のボサ・ノヴァ名作への参加を筆頭に、エウミール・デオダート Eumir Deodato 率いるオス・カテドラーチコスにも名を連ねていた稀代のギタリストで、ジェラルド・ヴェスパール Geraldo Vespar と双璧をなす60年代ボサ・ノヴァ界屈指のセッション・ギタリストです。

アルバムは全曲、ストリングのアレンジ(イパネマ・ストリングス)をバックにしたインストゥルメンタル。イージー・リスニングの範疇に入りそうでギリギリ入らないストイックな感じが、アルバムを非常に質の高いインスト作品にしています。例えば、ジョビン「Wave」辺りの CTI サウンドが頭をよぎる感じでしょうか。よぎるだけですが。また、ボサ・ノヴァ・スタンダードだけで構成されているのもポイントです。

サブスクでは今のところ聴けないようです。ディスク・ユニオンで500円くらいで買えるはずなので見つけたらゲットしてみてください。

  • Minha Namorada
  • Insensatez
  • Saudade da Bahia
  • A Felicidade
  • Água de Beber
  • Manhã de Carnaval
  • Chuva
  • Chove Lá Fora
  • Maria Ninguém
  • Preciso Aprender A Ser Só
  • Reza
  • Meditação
@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればX(旧Twitter)まで。@elenco

エドゥアルド・グヂン Eduardo Gudin - s/t (1973)

Eduardo Gudin - s/t

エドゥアルド・グヂン|s/t

Genre:ブラジル
Style:サンバ、ボサ・ノヴァ、MPB
Release:1973
Label:Odeon
Eduardo Gudin, Hermeto Pascoal, José Briamonte, Milton Banana, Elizeu, Luna, Marçal, Jane Morais, Paulo César Pinheiro

サンパウロを代表するシンガー・ソングライターでギタリスト、エドゥアルド・グヂンの記念すべきデビュー・アルバム。アントニオ・カルロス・ジョビンやバーデン・パウエル、小野リサ、それにギンガとの共作で知られるパルセイロの詩人パウロ・セザール・ピニュイロ Paulo César Pinheiro との息の合った共作曲を中心に、グヂンの慎ましいギターの刻みと素朴な歌声が心地の良い安らぎを与えてくれる珠玉の名盤。

サンバとボサ・ノヴァのブレンド具合が最高に気持ちよく、ブラジル音楽を初めて聴く人にもオススメです。アレンジではエルメート・パスコアルとアジムスのジョゼ・ベルトラーミがバックアップ。ゲスト女性ヴォーカルのジャニ・モラエスもとてもチャーミングです。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればX(旧Twitter)まで。@elenco

ミルトン・ナシメント Milton Nascimento - Maria Maria / Ultimo Trem (2002)

Milton Nascimento - Maria Maria Ultimo Trem

ミルトン・ナシメント|マリア・マリア ウルチモ・トレン

Genre:ブラジル
Style:ミナス、MPB
Recording:1976, 1980
Release:2002
Label:Warner Music Brasil
Luis Alvez, Novelli, Alceu Reis, Jacques Morelenbaum, Márcio Mallard, Watson Clis, Robertinho Silva, Hely Rodrigues, Paulinho Braga, Cafi, Nico Borges, Ronaldo Bastos, Sirlan, Telo Borges, Danilo Caymmi, Paul Jobim, Nelson Angelo, Tavito, Frederyko, Milton Nascimento, Zé Rodrix, Vermelho, Caboclinho, Hélcio Milito, Mauro Senise, Nivaldo Ornelas, Oscar Araiz, Pedro Santos, Nenê, Zé Eduardo, Dalva Prates, João Donato, Wagner Tiso, Paulo Moura, Edson Maciel, Toninho Horta, Naná Vasconcelos, Clementina de Jesus, Fafá de Belém, Nana Caymmi, Zézé Motta, Fernando Brant, Beto Guedes, Tavinho Moura

ミルトン・ナシメントと同郷のミナス発、世界的な活躍をみせる現代舞踊団、グルーポ・コルポ Grupo Corpo。パウロ・ペデルネイラスと彼の兄弟によって1975年に設立された前衛グループで、この作品は、そのグループ・コルポがミルトン・ナシメントにバレエのサントラのために委嘱した2作品「Maria, Maria (1976)」「Ultimo Trem (1980)」をカップリングした2枚組アルバム。

「Maria, Maria」は作詞家フェルナンド・ブランチ Fernando Brant とともに、マリアと呼ばれる一人の黒人女性の人生にフォーカスした舞台音楽。時期としてはウェイン・ショーター Wayne Shorter「Native Dancer」に参加したのを皮切りに、「Minas」「Gerais」「Milton」といった自身の代表作を発表していた頃。「Ultimo Trem」は当時の軍事政権が閉鎖した鉄道線を題材にした舞台で、ミナス・ジェライス州北東部の町全体の物流が滞り衰退し、そこに暮らした人々が苦しんだ現実を描いています。

当時のブラジル最高の音楽家の集結のみならず、ミルトンの迸る実験性と音楽的魅力が充溢した、歌心に溢れながらも鬼気迫る名作です。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればX(旧Twitter)まで。@elenco