シヴーカは1930年生まれ。本名はセヴィリーノ・ディアス・ジ・オリヴェイラといい(Sivuca という名前はどこから…)、幼少の頃からアコーディオンを弾きこなしたそうで、ジャケットの印象でギタリストと思い込みがちですが、基本的にはマルチ・プレイヤーですね。50年代の初レコード吹き込み以降、50年代末にはブラジルの音楽大使としてヨーロッパに出向いて、そのまま仏パリに移住。63年頃に、折からのボサ・ノヴァ・ブームに湧いていたニューヨークに移り、ハリー・ベラフォンテやミリアム・マケバ、オスカー・ブラウン JR. らのレギュラー・メンバーとして活躍。要は世界中を楽旅しながら生活して、フランスやスウェーデンなど、各地にリーダー作を残しました。これはそうして73年にヴァンガードからリリースされたセルフ・タイトルド・アルバム。
シヴーカの音楽性は、決して古びないフォークロアのような性質を持ちながら、ボサ・ノヴァのような落ち着きと大人っぽさ、そしてMPBの自由奔放さを持ち合わせた、現代のブラジル音楽シーンに繋がるものです。「Berimbau」からビル・ウィザーズ Bill Withers の「Ain't No Sunshine」を同一線状に並べて料理してしまう幅広い音楽性は、今後も世界の音楽に興味津々な音楽ファンの耳を納得させることでしょう。
Eduardo Gudin, Hermeto Pascoal, José Briamonte, Milton Banana, Elizeu, Luna, Marçal, Jane Morais, Paulo César Pinheiro
サンパウロを代表するシンガー・ソングライターでギタリスト、エドゥアルド・グヂンの記念すべきデビュー・アルバム。アントニオ・カルロス・ジョビンやバーデン・パウエル、小野リサ、それにギンガとの共作で知られるパルセイロの詩人パウロ・セザール・ピニュイロ Paulo César Pinheiro との息の合った共作曲を中心に、グヂンの慎ましいギターの刻みと素朴な歌声が心地の良い安らぎを与えてくれる珠玉の名盤。
Luis Alvez, Novelli, Alceu Reis, Jacques Morelenbaum, Márcio Mallard, Watson Clis, Robertinho Silva, Hely Rodrigues, Paulinho Braga, Cafi, Nico Borges, Ronaldo Bastos, Sirlan, Telo Borges, Danilo Caymmi, Paul Jobim, Nelson Angelo, Tavito, Frederyko, Milton Nascimento, Zé Rodrix, Vermelho, Caboclinho, Hélcio Milito, Mauro Senise, Nivaldo Ornelas, Oscar Araiz, Pedro Santos, Nenê, Zé Eduardo, Dalva Prates, João Donato, Wagner Tiso, Paulo Moura, Edson Maciel, Toninho Horta, Naná Vasconcelos, Clementina de Jesus, Fafá de Belém, Nana Caymmi, Zézé Motta, Fernando Brant, Beto Guedes, Tavinho Moura
ミルトン・ナシメントと同郷のミナス発、世界的な活躍をみせる現代舞踊団、グルーポ・コルポ Grupo Corpo。パウロ・ペデルネイラスと彼の兄弟によって1975年に設立された前衛グループで、この作品は、そのグループ・コルポがミルトン・ナシメントにバレエのサントラのために委嘱した2作品「Maria, Maria (1976)」「Ultimo Trem (1980)」をカップリングした2枚組アルバム。
「Maria, Maria」は作詞家フェルナンド・ブランチ Fernando Brant とともに、マリアと呼ばれる一人の黒人女性の人生にフォーカスした舞台音楽。時期としてはウェイン・ショーター Wayne Shorter「Native Dancer」に参加したのを皮切りに、「Minas」「Gerais」「Milton」といった自身の代表作を発表していた頃。「Ultimo Trem」は当時の軍事政権が閉鎖した鉄道線を題材にした舞台で、ミナス・ジェライス州北東部の町全体の物流が滞り衰退し、そこに暮らした人々が苦しんだ現実を描いています。