ジャズの名盤・名作をご紹介

ジャズの名盤探検隊

クラウデッチ・ソアレス Claudette Soares - Claudette (1969)

Claudette Soares - Claudette (1969)

Claudette Soares - Claudette

Genre:ブラジル
Style:ボサノヴァ、MPB
Recording:1969
Release:1969
Label:Philips

ボサ・ノヴァ~MPBにかけての歌姫クラウデッチ・ソアレスの面目躍如の傑作アルバムがこれ。歌い上げて歌謡曲になりすぎず、かつムード寄りになりすぎず(メロウくらい)、かといってMPBにも寄りすぎない絶妙なバランス感覚。というのもアレンジャーと作曲者を見てみると訳が分かります。

アレンジャーはサンサ・トリオ のジョゼ・ブリアモンチ José Briamonte とソン・トレス Som Tres のセザール・カマルゴ・マリアーノのピアニスト二人。作曲面ではカエターノ・ヴェローゾ Caetano Veloso をはじめ、アントニオ・アドルフォ Antonio Adolfo、ドリ・カイミ Dorival Caymmi、マルコス・ヴァーリ Marcos Valle、ワルテル・サントス Walter Santos など豪華面々。

今からちょうど50年前の1969年にリリースされたこのアルバムは、なんでもボサ・ノヴァの保守的ファンとトロピカリア派の双方に気に入られるような選曲にするためにこのようにヴァラエティーに富んだ選曲になったのだとか。50年代からボサ・ノヴァの殿堂で歌っていたクラウデッチは音盤デビューは大分遅くて64年になってからで、そこにもリオでの音楽業界の事情があったらしく…それに軍政の激動の時代、歌手がコマーシャリズムの波に乗って成功するためには色々な紆余曲折があったのでしょうね。

それにしてもカエターノの作曲は一聴して分かるところが凄いですね、オリジナリティ。余談ですが、クラウデッチの金髪は本当は黒髪です。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればTwitterまで。@elenco

メイレレス・エ・オス・コパ・5 Meirelles E Os Copa 5 - O Som

Meirelles E Os Copa 5 - O Som

Meirelles E Os Copa 5 - O Som

Genre:ジャズ
Style:ブラジリアン・ジャズ
Recording:1964
Release:1964
Label:Philips
J.T. Meirelles (ts, fl), Manuel Gusmao (b), Dom Um Romao (ds), Luiz Carlos Vinhas (p), Pedro Paulo (tp)

ブラジル音楽愛好家の間では通称「青盤」として有名な J.T.メイレレスのスーパー・グループのデビュー作。サイドメンにはルイス・カルロス・ヴィーニャス Luiz Carlos Vinhas(Bossa Tres)やドン・ウン・ホマォン Dom Um Romao の名前も。須永辰緒の夜ジャズ・シリーズでも有名です。

冒頭を飾る「Quintessencia」はサンバ・ジャズの王道で、素晴らしい演奏を各人が聴かせてくれます。続くスローナンバー「Solitude」はモンクのラウンド・ミッドナイトが下敷きとしてたぶんあるでしょう。あそこまで湿り気がない憂いなのはやはりブラジリアンだからでしょうか。「Blue Bottle's」は陽気なナンバー。ソロがバトンタッチされていくさまが気持ちいいですね。「Nordeste」も「Blue Bottle's」と同じように中盤を固めるには良曲でしょう。そしてブラジリアン・モーダルとして大変評価の高い「Contemplacao」。「Tania」はボッサ・テイストを取り入れた締めに相応しいナンバー。どの曲もメイレレスのソロが素晴らしい。

アレンジャー、またグループのリーダーであるメイレレスは1940年10月10日生まれ。コンポジションとアレンジメントをボストンのバークリー音楽院で学び、リオやサン・パウロのグループやオケでアレンジをしたり、実際に演奏していました。

ベースのマヌエル・グスマンは1934年7月1日生まれ。1960年にプロ・ミュージシャンになり、ボトルズ・バーで演奏していました。1961年のモントルー・ジャズ・フェスティバルのような大きなイベントやカーネギー・ホールでの歴史的なコンサートでの演奏経験もあります。

トランペットのべドロ・パウロは「カリオカ」ではない唯一のメンバーで、ジュイス・デ・フォラに1939年に生まれました。前述のマヌエル・グスマンと同じようにカーネギー・ホールでのコンサートに参加したり、ヴィレッジ・ゲイトでも演奏しました。ドラムスのドン・ウン・ホマォンと一緒にキャノン・ボール・アーダレイの吹き込みにも参加したことがあります。

言わずとしれたルイス・カルロス・ヴィーニャスは1940年5月19日生まれ。この頃既に彼の名前は有名になっていて、ジョアン・ジルベルト、マイーサ、ジョルジ・ベンなどと共演していました。

CD化に際して3曲のボーナス・トラックが追加されていて、それには、ロベルト・メネスカルや、ワルテル・ブランコ、デオダートらの名前が見れるところを見ると、たぶんこの次のアルバム吹き込みに際してのアウトテイクかと思われます。どれも2分弱の小曲ですが、メネスカルからの影響か、ジャズ・ボッサの風味が心地良い良曲です。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればTwitterまで。@elenco

ブラジル産スピリチュアル・モード!Vitor Assis Brasil - Desenhos (1966)

Vitor Assis Brasil - Desenhos (1966)

ヴィトル・アシス・ブラジル - デゼーニョス

Genre:ジャズ
Style:ブラジリアン・ジャズ、モード
Recording:1966
Release:1966
Label:Forma
Vitor Assis Brasil (as), Tenorio Junior (p), Edison Lobo (b), Chico Batera (ds)

FORMA(ホベルト・クアルチン主宰のレーベル)からは、ボサ・トレス Bossa Tres や、そのピアニストのルイス・カルロス・ヴィーニャス Luis Carlos Vinhas が良質なサンバ・ジャズのアルバムを残しています。このヴィクトル・アシス・ブラジルの傑作ファーストもそのFORMAから1966年にリリースされたアルバムです。

ヴィトル・アシス・ブラジルは1945年リオ生まれで35歳で夭折。つまりこのジャズ史に残るアルバムを吹き込んだとき、若干21歳!今回は、生前にリリースされた6枚のアルバム全てが傑作という神童アルト奏者のデビュー作についてです。

90年代のクラブ・ジャズ・シーンでブラジリアン・ミュージックが再評価される中、ブラジリアン・ジャズの範疇のヴィトルもその文脈の中で再発見されました。特に冒頭のジョアン・ドナート作「Naquela Base」がニコラ・コンテ Nicolo Conte にサンプリングされるなど、クラブ・ジャズ・クラシックとして人気があります。ただ気を付けたいのは、ヴィトルの音楽性はブラジルという音楽の範疇に縛られるものではなくて、例えばジャズ・ボサノヴァとかサンバ・ジャズという言葉では括りきれないということです。クラブ・ジャズを期待しても肩透かしを食らうかも。このアルバム「デゼーニョス」はコルトレーンでいえば「バラッズ」のようなアルバムかも知れません。

ベースにエヂソン・ロボ、ドラムスにシコ・バテラ、ピアノにテノーリオ・ジュニオールを配した鉄壁の四重奏団。エヂソン・ロボは、ドン・サルヴァドール Dom Salvador のトリオ後、ル・トリオ・カマラ Le Trio Camara で吹き込み。ピアノのテノーリオ・ジュニオール Tenorio Jr. は今やこのメンバーの中で一番知名度があると言っても過言ではない伝説のピアニスト。27歳という若さでこの世を去り、人気アルバム「Embalo」をRGEに残しました。

このアルバムの聴きどころは散りばめられたバラード群から立ち昇るぐっと抑制されたスピリチュアリティとモーダリティで、例えばサンバのスタンダード「Primavera」で聴ける切々と歌い上げる哀愁のアルトにその極みを聴くことができます。丁寧に綴られる一音一音が内省的に真摯に彼の愛情を Desenhos = Drawings していく様がありありと浮かび上がってきます。少し彩りを添えたいと思われれば「Amor de Nada」で少々陽気にワルツなど。

この後、ヴィトスはセカンド「Trajeto」でよりモーダリティに接近したあとバークリーに留学するも、帰国後にジョビン楽曲集を吹き込むなど、アイデンティティを見失うことはありませんでした。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればTwitterまで。@elenco

ダウナーでクール!アジムス Azymuthの未発表音源集 Demos 1973-1975 (2019)

Azymuth - Demos 1973-1975 (2019)

Azymuth - Demos 1973-1975

Genre:フュージョン
Style:ブラジリアン・フュージョン
Recording:1973-1975
Release:2019
Label:UK Far Out Recordings

アジムスの1stリリース前、1973-1975年の間に、キーボーディストの José Roberto Bertrami(ホセ・ロベルト・ベルトラミ)の自宅で録音された未発表音源集。衝撃的にリリースされましたね!

デビュー後のソフィスティケイテッドなブラジリアン・フュージョンの萌芽を感じさせるようなダウナーでクールなジャズ・ロック・サウンドが全編で繰り広げられます。50年近く前のブラジル音楽シーンで、このジャジーでクールなサウンドを創造していたかと思うと軽くゾッとしますね!しかも宅録!歪んだムーグとエレピがミニマルなベースと交錯する「Equipe 68」なんて絶品です。

ちなみに色々なレコ屋のキャッチで

サイケデリック

と評されていますが…ダウナーなメロウネスといったほうが伝わる感じがします。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればTwitterまで。@elenco

Aloisio Aguiar Trio w/ Claudio Roditi - Child of The Universe (1992)

Aloisio Aguiar Trio w/ Claudio Roditi - Child of The Universe (1992)

アロイジオ・アグイア・トリオ|チルドレン・オブ・ザ・ユニヴァース

Genre:ジャズ
Style:ブラジリアン・ジャズ、ジャズ・ボッサ
Recording:?
Release:1992
Label:VWC Records
Aloisio Aguiar (p), Claudio Roditi (tp), Nilson Matta (b), Portinho (ds)

アロイジオ・アグイア率いるピアノ・トリオにクラウディオ・ロディッティの tp が加わったクァルテット。ジャケットは60年代の香りがしてくるが(62年のアロイジオ・アグイアとクラウディオ・ロディッティ)、中身も期待に違わないジャズ・ボッサ。Zimbo Trio や Bossa Tres、Jongo Trio、Manfredo Fest あたりが好きなら当たり。

@ 管理人
Webデベロッパー
ジャズやブラジル音楽が好きです。ふーん、これはジャズなのか、という名盤から、うん、これはジャズじゃないね、という名盤まで。ご意見・ご感想などがあればTwitterまで。@elenco