伊ミラノでのモーグ実験ライブ!サン・ラー Sun Ra - Disco 3000 / Media Dreams (1978)

サン・ラー|ディスコ 3000
- Genre:ジャズ
- Style:スペース・エイジ、ブラック・ジャズ、エレクトロニック
- Recording:1978-1-23
- Release:1978
- Label:El Saturn Records
- Luqman Ali (ds), Sun Ra (key), John Gilmore (ts), Michael Ray (tp)
1978年1月、サン・ラーご一行様は、つまりアーケストラはローマでレコーディングに臨んでいた、しかも4回。1月2日と7日の録音は「New Steps」、8日と13日の録音は「Other Blues」としてその年のうちにリリースされた。名義は「サン・ラー・カルテット feat. ジョン・ギルモア」…なぜアーケストラ名義ではないのか。どうやらローマの録音スタジオが狭すぎてアーケストラ全員が入れなかったために、サン・ラーがメンツをピック・アップしてこうなったらしい。
そしてこのサン・ラー軍団イタリア滞在は思わぬ副産物というか、後年にはこっちがメインだったんじゃないかと思われるほどの果実を産みます。それが1月に数回行われたらしいライブをコンパイルした「Media Dream」「Disco 3000」「Sound Mirror」の3作品…すなわちこの「Disco 3000」がそのうちの一枚。
怖がらないでまずは、トラック 1~3をぶっ飛ばして「Dance of The Cosmo Aliens」を聴いてほしい。ここにテクノなサン・ラーがいるのが分かるのではないでしょうか。新しいモーグと内蔵のリズムマシーン、シーケンサーを楽しそうにいじっっているのが目に浮かびませんか?そうしたら今度はトラック 1に戻ってタイトルトラックの「Disco 3000」を耳を傾けてください。フリーだと思ったらチルでなんとなくアフリカで、どことなくアンビエント。この26分以上に及ぶ大曲は、10分すぎからは完全にスペース・エイジなエレクトロニック・ミュージックと化します。テナーが入ってくるとなぜかアフリカ、止むと宇宙へ、大忙しの小トリップ。
掲載したジャケットはオリジナルではありません。数種類のバージョンがあるのですが、とにかく「Disco 3000」と書いてあれば大丈夫です。ただ、CD1枚の通常版と完全版のCD2枚組があるので、間違えて通常版を買わないように気をつけましょう。

サン・ラー|メディア・ドリーム
- Genre:ジャズ
- Style:スペース・エイジ、ブラック・ジャズ、オルガン
- Recording:1978-1-9
- Release:1978
- Label:El Saturn Records
- Luqman Ali (ds), Sun Ra (key), John Gilmore (ts), Michael Ray (tp)
「Media Dream」は「Disco 3000」のちょうど2週間前のライブを捉えた記録。カルテット名義ということで、サン・ラーの電化プレイが中心になる曲では相変わらずドゥープなサウンドが聴きモノの割には、アコースティック・ピアノに持ち帰ると途端にオーソドックスなアンサンブルに早変わり。前者のいい例が「Constellation」や「Media Dreams」、後者は「Twings At Twilight」「Images」。特に後者では、アーケストラではなくカルテットでの身軽さを結構楽しんでいる様子が伝わってきます。
とは言っても目玉はやはり前者のドゥープでサイケな「Constellation」や「Media Dreams」、それに「Friendly Galaxy」。なんだか小人が行進してきそうな、というより交信していそうな「Constellation」のミニマルなリフの分厚さ!激しい即興の中でもサン・ラーはプレイの中に美しいフレーズを織り込んで、そうするとジョン・ギルモアのプレイもコルトレーン・ライクではなくなってどこか憂いを帯びてきます。と思ったら、またサン・ラーが好き放題やりだすので、すごい楽しめるんですよ、これが。
「Media Dreams」はもう原初テクノ。中盤までのアンビエントな流れからリズムボックスが入りだしたらもうサン・ラーの独壇場。前半が交信だとすれば、後半は呪術。その後半またしてもテクノデリック。
「Friendly Galaxy」は電化したサン・ラーとアコースティックなサン・ラーの折衷が聴けてこれも面白い。
