アンブローズ・アキンムシーレ Ambrose Akinmusire - On The Tender Spot of Every Calloused Moment (2020)

アンブローズ・アキンムシーレ|オンザ・テンダー・スポット・オブ・エヴリ・カラスト・モーメント
- Genre:ジャズ
- Style:コンテポラリー・ジャズ
- Release:2020
- Label:Blue Note
- Harish Raghavan (b), Justin Brown (ds), Sam Harris (p), Ambrose Akinmusire (tp, ep), Genevieve Artadi (vo), Jesus Diaz (vo)
過去の作風に囚われないで、常に新しい作品を作り出すというのは物凄くパワーのいることだと思うし、そうして届いたものを味わって言語化するというのは、味わうまでは簡単ですが、いざ言語化しようとすると非常に難しかったりします。というのも、鑑賞というのは絶対的にそうだとは言わないまでもある程度までは比較という作業の上に成り立っている(と思う)ので、新しいものをポンと持ってこられると、比較の連鎖からなる連続性がブツんと切られてまた一から手探りで言葉を探しに行かなければならなかったりするのではないでしょうか。ただ、そういう作品は所謂面白いので、シーンに好意的に迎え入れられること多いようにも思えるので(現在は)、ここに届いたアンブローズ・アキンムシーレの新作もたぶんそういう類のアルバムでしょう。
アンブローズ・アキンムシーレは1982年に生まれ。若手~中堅では最先端のジャズを突っ走るトランペッター。ナイジェリア出身の父親とミシシッピ州出身の母親の間に生まれ、カリフォルニア州で育った、という来歴が、このジャケットともにこのタイミングで想起させるのは、Black Lives Matter 運動を筆頭とした、黒人の人種差別問題に対するアティテュード。
自分の声を使って黒人生活の複雑さを分析している
ただ、これは新たな試みではなくて、現代ジャズをはじめ黒人の芸術が常に孕んできた意識であって、アンブローズ・アキンムシーレも常にそういう意識を作品に込めてきたことは見逃せなくて、デビュー作「When The Heart Emerges Glistening」からそういう意識の発露は見られたわけでした。
すべての黒人の芸術には、同じメッセージが常にある。黒人は Black Lives Matter がムーヴメントや、スローガン、ハッシュタグになるずいぶん前から、我々の命が大切だと言い続けてきた。それは今後も決して変わらないだろう。

Ambrose Akinmusire - Origami Harvest
- Genre:ジャズ
- Style:コンテポラリー・ジャズ、ヒップ・ホップ
- Release:2018
- Label:Blue Note
- Ambrose Akinmusire (tp), Sam Harris (p), MIVOS Quartet (st), Kool A.D. (vo), LMBRJCK T (vo), Michael Aalberg (key), Walter Smith III (ts)
2018年の衝撃「Origami Harvest」。アンブローズ・アキンムシーレの政治性がリリックを通して発露した、ジャズとポリティクスを巡る連綿たる潮流に新たなページを切り開いた超傑作。
アルバム・タイトルの Origami は黒人たち、特に男性は、その型に合うか否かに関係なく、さまざまな形で社会に屈しなければならない、ということを表しているんです。この曲を書いている時に息子が生まれて、こうして繰り返す生命の誕生の中で生まれるにものについて考えたんです。

Ambrose Akinmusire - A Rift In Decorum: Live At The Village Vanguard
- Genre:ジャズ
- Style:コンテポラリー・ジャズ
- Release:2017
- Label:Blue Note
- Harish Raghavan (b), Justin Brown (ds), Sam Harris (p), Ambrose Akinmusire (tp)
最新作「On The Tender Spot of Every Calloused Moment」と同じ布陣でのヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ。
